食後の胃痛・胸焼け
食後の胃痛・胸焼けといった症状の原因についての解説。
食後の胃痛・胸焼けといった症状は、程度の差にもよりますが日常的によく起きるものなので、軽く感じている人も多いことと思います。 ただ、ある程度の期間継続して頻繁に生じたりすると不安に感じるものですし、実際に何らかの病気が原因となって発症している可能性もないとは言えませんので、症状が重い場合や慢性的に感じておられる人であれば、消化器内科など専門の病院で診察をしてもらうことをお勧めします。 |
食後の胃痛の原因
食後の胃痛の原因としては、単純に食べ過ぎなどによって消化不良を起こすことで起きるものから、後で述べる【胃炎】【胃潰瘍】【十二指腸潰瘍】【機能性胃腸症(FD)】などといった消化器系の病気がが誘発要因となっていることも考えられます。
症状の現れ方やどれぐらいの期間にわたって症状が続いているのかによって原因も異なってきますので、自己判断で済ませずに正確な診断は、病院で診察をしてもらうことが大切です。
胃炎
胃炎の中でも慢性胃炎である場合の自覚症状として、食後に胃痛や胸焼け、もたれ感、吐き気といった症状が挙げられる他、空腹時や夜間に胃痛を感じることもあります。但し、これらは慢性胃炎に限った症状ではなく、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、または胃癌といった場合でも見られる症状ですし、逆に症状が全く感じられないこともあります。
胃炎の原因としては最も多いと考えられているのが胃酸過多によるもので、胃酸の出すぎによって胃の粘膜に炎症が生じます。また、いろいろな刺激から胃の粘膜を保護している胃粘液の分泌が低下することでも胃炎を発症します。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍
胃潰瘍や十二指腸潰瘍という病気は共に、胃酸や一部の酵素の消化作用によって粘膜組織を傷つけてしまうことで起こります。胃潰瘍・十二指腸潰瘍の主な自覚症状としては【心窩部痛(みぞおち周辺の痛み)が挙げられ、痛みのの他にも【胸焼け・酸っぱいゲップ・吐き気・嘔吐・食欲不振】などの症状がある場合があります。
一般的に胃潰瘍の場合、食後30分から2時間位に痛みが生じることが多いと言われており、食べ過ぎなどにより症状が長引く場合もあるようです。十二指腸潰瘍の場合は、食前や食後2、3時間経過してからの空腹時に痛みが生じることが多いとされており、夜間に症状が起きる場合もあります。但し、胃潰瘍・十二指腸潰瘍ともに病状が進行して悪化すると、食後や空腹時に関係なく痛むことがあります。
機能性胃腸症(FD)
機能性胃腸症というのは、胃腸の運動機能が低下することで正常に働かなくなる病気のことで、胃の粘膜などにハッキリとした外見上の異常が現れていないにも関わらず、【胃もたれ・胃痛・胸焼け・膨満感・吐き気・嘔吐】などの症状が一定の期間生じている場合に診断され、機能性胃腸障害とも呼ばれています。
機能性胃腸症は比較的新しく診断されだした疾病で、以前は先に挙げた症状で悩まされた人が病院で内視鏡検査などをしても、これといった異常が見当たらないことから様子をみましょうと言われたり、【神経性胃炎】や【慢性胃炎】などと診断されたりしていました。
機能性胃腸症の原因としては、まだ医学的にハッキリとしたことが解明されていないのですが、主にストレスや過労の他、不規則な食生活なども原因となっているのではないかと考えられています。
食後の胸焼けの原因
食後に胸が焼けるように感じる【胸焼け】の原因としては、暴飲暴食やストレスによるものが挙げられ、肥満も原因の一つとされています。
そもそも胸焼けを引き起こす仕組みとしては、【胃液(胃酸)が食道に逆流することで、食道の粘膜が炎症を起こす】ことで生じているのですが、本来なら食道は胃液の逆流を防ぐようになっています。しかしながら、暴飲暴食によって胃酸が出過ぎたり、肥満によって腹部の脂肪が多すぎることで胃への圧力が高まることなどで、胃液が逆流しやすくなります。
胸焼けの予防対策
食後の胸焼けを予防するためには、上記で述べた理由から食べ過ぎ・飲み過ぎに注意することと、なるべく肥満を解消する必要があります。また、食事をした直後に仰向けに寝そべったり、横になったりすると胃液が逆流しやすい体勢となるので、食後の姿勢に注意する必要もあります。
胃酸の逆流により長期にわたって食道の粘膜が障害を受けると、食道粘膜が胃の粘膜に近い構造をした【バレット食道】と呼ばれる状態になり、【食道がん】を発症しやすくなりますので、たかが胸焼けと侮らずに注意する必要があります。